次の文章のには、16~20 の( )に最も適当な答えを一つ選んでください。 人間至上主義の西洋の芸術表現に見る自然の対象は、あくまで、人間を中心とする表現の副次的な存在であり、装飾のモチーフとしては多用されている( 16 )、決して表現の中心的なモチーフには( 17 )のである。
日本美術では名もない野草や昆虫や小動物が表現の主役を演じる場合も少なくない。19 世紀中頃、西欧に強烈なジャポニスムを巻き起こし、印象派絵画に影響を与えたのは、斬新な余白を生かした構図や斜めのコンポジション、平面的な描写ばかりでなく、自然の景観を愛しい( 18 )ていねいに描写し、野草や小動物( 19 )も表現の主役としてしまう日本人の自然主義の徹底ぶりであった。西欧の人々は、初めは驚き、奇異な目で眺めていたものの、ついには彼らに欠けていた精神性を自覚し、やがて日本人の目指す自然主義的な感性に( 20 )。世紀末のフランスやベルギーを中心に湧き起こったアール・ヌーヴォーの装飾美術は、まさしく日本美のエッセンスの西欧への移植であり、長い歴史を誇る伝統的な西洋美術における突然変異であった。 このように日本美術を眺めてみると、日本人が美とした形や構図は自然界にごく普通に見られる形象から学んだ美学に基づいていることがわかる。
【題組】20
(A)共感せずにはおかなかった
(B)共感しはじめたのである
(C)共感すべくもなかったのである
(D)共感せずにはすまなかった