次の文を読んで、適当な答えをそれぞれ一つ選びなさい。幼稚園の運動会で、みんな一生懸命で、木に登ったり、二階のベランダに上がったりしている人が何人もいた。子供の家族が子供を見に来ているというより、どこかの撮影会社の人たちが来ているのかと思ったくらいである。写真を楽しむということは、悪いことではない。しかし、現実の子供の動きや、その場の空気を、その場で直接感じないで、写真やビデオの中だけで感じようとするのは、やはりどこかおかしい。ふつうではない。
本来、記録というのは記憶とは違う。写真やビデオは記録の(76)道具としてはすばらしいが、記憶のための道具ではない。記憶は人間が自分のさまざまな感覚でするものである。その記憶ということをカメラという機械に全部してもらうのは大きな間違いである。写真をとることにばかり気をとられて(77) を自分の目で見ることがない。あとでうちへ(78) ビデオで見られると思うから、目の前で行われていることを、その場所で自分の目を使ってしっかり見ようとしない。これはどこか間違っていないだろうか。
写真家として、また写真教室の講師として、多くの人たちが写真(79) 興味を持つようになることは、前にも書いたようにとてもうれしい。しかし、このような(80)まちがった行いをしていないか、もう一度考えてほしい。私は最近の写真ブームのかげには、自分でしないで何でも機械の力を借りてしまうという最近の人間の悪い習慣があるように思うのである。
【題組】77 写真をとることにばかり気をとられて(77) を自分の目で見ることがない。
(A)目の前の現実
(B)写真やビデオ
(C)記録の道具
(D)人間の感覚