◎次の文を読んで、(71)~(75)の設問に答えなさい。 日本海側の糸魚川から松本城下を結ぶ約 120km の千国街道は、人が生活するための必需品であ
る塩が盛んに運ばれた (71) 「塩の道」と呼ばれた。戦国時代に上杉謙信が武田信玄に、敵にも
かかわらず塩を送った『義塩』の故事もこの道に由来する。塩のほかにも海や内陸のさまざまな
生活物資が行き交い、牛馬や歩荷と呼ばれる人足たちが盛んに往来した。
起伏が多い道のため運搬手段は馬より牛の方が有利で、道は鞍をつけた牛がすれ違える 9 尺
(約 2.7m)の幅で山あいに延びている。国道 148 号の整備と共に街道は輸送路の役割を終えて衰
退した (72) 、風景や史跡は往時のまま残された。
小谷村には塩の道を歩く 8 つの散策コースが整備され、なかでも「石坂越えコース」(約 12km、
所要 4 時間 30 分)と「千国越えコース」(約 7km、所要 3 時間 10 分)のルートは、古道の風情を
味わいながら歩くことができる。
おすすめのルートは JR 大糸線中土駅を起点に「石坂越えコース」の途中から塩の道に入り、前
山百体観音に至る約 11.3km のルート。「おたり名産館」で名物の手打ちそばを堪能し、大別当の
庚申塔付近では、のどかな (73) 山里風景や道端の石仏群に心を和ませる。千国の庄史料館・
千国番所跡と牛方宿で古道の歴史に触れ、祈りの場である前山百体観音で古人同様に (74) 。
眺望の開けた場所で眺める北アルプスの山並みは神々しく、随所に湧き出る湧水は清冽そのもの。
歩荷や牛方の過酷な道中にも思いをはせながら、歴史と自然が息づく古道歩きを満喫できる。
【武田憲人(編集長)『散歩の達人 信州』(交通新聞社、2018)より】
【題組】75 文章の内容に関して間違った説明を選びなさい。
(A)「塩の道」は千国街道を指す。
(B)国道 148 号は起伏が多いため運搬手段は馬より牛の方が有利である。
(C)小谷村には塩の道を歩く 8 つの散策コースが整備されている。
(D)「おたり名産館」で手打ちそばが食べられる。